Things

REPORT

11のfujiをめぐるイメージ

4月7日まで、東神田の現代美術ギャラリー「タロウナスギャラリー」で開催中のTakashi Homma 『Fugauku 11/36 -Thirty six views of mount fuji』は、日本人であれば誰もが知っている富士山を捉えた作品が展示されている写真展。

葛飾北斎の有名な「富嶽三十六景」をテーマに、写真家のホンマタカシ氏が36の富士の撮影を敢行中。今回の展示では現在までに制作された11の作品が発表されている。

そのすべてがピンホールカメラという、像を捉える原始的な方法であるカメラオブスキュラスの手法を用い撮影されているという。

富士山や花火、東京ではつい先日まで見頃を迎えていた桜も、全ての人に具体的なイメージがあり、それだけで圧倒的な美しさを持つものは、写真に撮ったり、絵に描くことは実はとても難しいことだと僕は思っている。富士山も花火も桜も、いかに技巧をこらして描いても、それ以上にもそれ以下にもなりにくいからだ。

今回ホンマ氏はそんな富士山に真っ向から対峙している。「東京」をテーマにした作品で世界的に知られるホンマ氏が捉える富士山を初めてみたのは、5〜6年ほど前に香川で行なわれた建築家丹下健三のエキシビションだったように記憶している。そこでは丹下が戦時中に行なわれた「大東亜建設記念造営計画設計競技」というコンペで、冨士山麓と皇居とを大東亜道路という都市軸で結び、そこに戦没者のための神域をつくるという壮大な構想を計画。それに関連してその舞台をホンマ氏は現代に置き換え写真に撮影していた。

富士山も花火も桜も写真に撮るのは難しいと書いたが、ホンマ氏が自身写真のライフワークとする「東京」もまた、みる人によって多様なイメージをもつものであるがゆえに漠然としており、ある種消費されすぎていることで写真や絵に描きにくいものかもしれない。

今回11のイメージが発表されたホンマ氏の富士だが、現代美術の手法で取り組み、みるものにまったくあたらしい富士のイメージを喚起させる。それが現在構想中だという36のイメージが出揃ったときに、総体としてどんな富士像をもたらしてくれるのか興味は尽きない。

写真と文=加藤孝司

RELATED POST