神保町散歩 vol.1
水餃子と古書とタルトの1日
2018.8.08

風情のある建物を眺めたり、おいしいものを食べたり、ぶらりと入った店をひやかしたり。
街歩きには、楽しみがたくさんある。私は、ぽっかりあいた1日があったら、気になる街に出かけて行って、のんびりと散歩するのが好きだ。
実は神田は、散歩にぴったりの街。ノスタルジックな建物も、老舗のレストランも、現代的なこだわりのコーヒー屋さんも、昔ながらの純喫茶も、洗練されたお菓子屋さんも、なんでもあるから。気をつけたいのは、日曜日定休の店が多いこと(たまには平日にお休みをとって出かけてみるのもいいかも)。

例えばお昼ごろに神保町に着いたなら、まずは腹ごしらえを。
地下鉄A7出口からすぐ、すずらん通りに入って右側にある老舗の餃子屋さん、スヰートポーヅへ。並んでいることもあるけれど、回転が速いから少し並べば入れるはず。
ほとんどのお客さんが食べているのが、焼き餃子(この餃子は、皮であんを巻いた細長いタイプの中国本場式)とご飯がセットになった餃子ライス。

私が好きなのは、水餃子。これにご飯をセットにすることもできるけれど、皮がもっちもちで食べごたえがあるから単品で充分。ビール中瓶もプラスできたら最高。

入り口のショーウィンドーやお店の雰囲気、白衣のおばさんたちも、すごくいい。

お店を出て、腹ごなしに歩く。そのまますずらん通りを東へ歩いて行くと、ボヘミアンズ・ギルドという古書店がある。
神保町といえば、古本の街。文芸、書、料理、食、洋書、美術など、店ごとに得意なジャンルがあるから、相性のいい店に出会えるとかなり楽しい。ちょっとハードルが高い店構えも多いけれど、ボヘミアンズ・ギルドは入りやすいのでご安心を。店名からもわかるように芸術に関する本が多く、2階のギャラリーには、版画や絵画、文豪の草稿なども展示販売されている。

近くの古書店もいくつかまわったら、靖国通りを渡って、散歩のお土産を買いに行く。
目指す STYLE’S CAKES & CO.は、内装もラッピングも可愛らしいケーキ屋さん。本当は帰る直前に買い物したいところだけど、午後の早い時間に売り切れてしまうことも多いから早めに行くのがおすすめ。

奥の工房スペースで感じのいいご夫婦が手作りしている様子と、きらきらと輝くケーキやタルトが並ぶショーケースを眺めるだけでかなりテンションが上がる。ついあれもこれもと買ってしまうけれど、塩のケーキというパウンドケーキも忘れずに。自分用と友人用に1つずつ買う。

甘いものを買ってコーヒーが飲みたくなったら、靖国通りをまた渡る。このあたりには老舗の純喫茶がいくつもあって、ぶらじる派、ミロンガ派、ラドリオ派などとそれぞれ常連さんがいるらしい。今日は神田伯剌西爾へ。地下の薄暗い空間が落ち着く。おすすめはコーヒーゼリー。予想以上に苦いコーヒーのゼリーに、たっぷりのクリームとシロップをかけて食べるのがおいしい。

地上に出たら、いつの間にか日が暮れていた。
夕食を神田で食べるなら、ヴァンナチュールのお店も、大衆居酒屋も、老舗の和食屋も、もちろんカレー屋もある。誘惑はいっぱいだけど、この日はケーキと本を片手に帰宅。
楽しみは、また次の休日に。

写真=加藤孝司  文=藤井志織

  • スヰートポーヅ
  • 場所:東京都千代田区神田神保町1-13-2
  • TEL:03-3295-4084
  • 営業時間:11:30~15:00、17:00~20:00(土曜日は通し営業)
  • 定休日:月・日曜(日曜は営業する週もあり。11:30~15:00)
  • ボヘミアンズギルド
  • 場所:千代田区神田神保町1-1 木下ビル1F、2F
  • TEL:03-3294-3300
  • 営業時間:11:00~19:30(日・祝11:30~18:00)
  • 定休日:無休
  • STYLE’S CAKES&CO.
  • 場所:千代田区神田小川町3-16-5
  • TEL:03-3291-6910(営業時間外のお取り置き受付時間は 9:00〜11:00)
  • 営業時間:12:00〜19:00(土曜日は〜17:00)※売り切れ次第閉店
  • 定休日:日曜・祝日(土曜不定休)
  • 神田伯刺西爾 (カンダブラジル)

  • 場所:東京都千代田区神田神保町1-7 小宮山ビル B1F
  • TEL:03-3291-2013
  • 営業時間:11:00~21:00(日曜・祝日は~19:00)
  • 定休日:無休

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