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長田佳子さんとお菓子
(ときどきビール)探訪 (後編)

長田佳子氏インタビュー 写真:Takashi Kato

街歩きの醍醐味は、小さな発見

山の上ホテルを出て今度は神田駅方面へ。
小径に入ってみたり、古い建物を見つけてときめいたり。街歩きの楽しさは、目的なく歩くことにあります。

長田佳子氏インタビュー

裏道を歩いていたときに見つけたガイアは、長田さんもよく行くお店。

「神田にもあるんですね。こちらの代々木上原店には、ちょくちょく行きます。環境や人にやさしいもの、作り手の顔が見えるものなど、思いやりのある商品がそろっていて、有機栽培の小麦粉を買ったりしています」

長田佳子氏インタビュー 写真:Takashi Kato

「知る人ぞ知る、というような小さな料理屋さんにも惹かれますね。行ってみたいお店がたくさん!」

鳥すきやきの「ぼたん」や、あんこう鍋の「いせ源」といった老舗の前を通りがかったときには、きりりとしたその佇まいにほれぼれ。

「ちょっと緊張しちゃうけど、もういい大人なんだし、そろそろ行ってもいいですよね(笑)」

長田佳子氏インタビュー 写真:Takashi Kato

道角に立っていた小さな看板を見つけた長田さん、真剣な顔でチェック。

「ワンコイン寄席ですって。最近、寄席も面白そうって興味がわいてきているんです。神田を半日歩いているだけで、いろんな楽しみができそうだなぁ」

長田佳子氏インタビュー 写真:Takashi Kato

本日、二軒目の純喫茶へ

そろそろ休憩しましょうかと向かったのは、喫茶エース。昭和46年創業、ダンディな兄弟が営む喫茶店です。
朱赤と白のストライプの入り口から既にかわいい。

長田佳子氏インタビュー

オーダーはもちろん、元祖のりトースト。「これが食べてみたかった」と長田さん。
ひと口食べてみると、バターがしみたトーストに、しょうゆとのりの味がなじんでいて、あとをひくおいしさ!

長田佳子氏インタビュー 写真:Takashi Kato

店内に所狭しと並んでいるメニューは、すべてマスターの手書きなのだとか。
「お金がないからね、全部自分で作っちゃうの(笑)」とおっしゃいますが、これ、フォントとして販売してほしいほどのクオリティ。切り抜いて貼られている写真の効果も抜群で、デザインってこういうことじゃないかと感動します。

長田佳子氏インタビュー

大衆居酒屋の老舗で散歩を締めくくる

コーヒーを飲んでひと息ついたところで、そろそろ神田散歩もおしまい。
〆はどうします? と聞いてみたところ、「この近くに、みますやがありますね」と長田さん。さらりとした表情ですが、内心、すごく嬉しそう。
繊細で美しく、心にもからだにもやさしいお菓子を作る長田さん、実はお酒にめっぽう強いのです。

長田佳子氏インタビュー 写真:Takashi Kato

みますやの創業は明治38年。なんと100年以上、営業しているというわけです。
入ってみると、まだ17時半というのにほぼ満席! スーツを着たおじさまたちで埋まっています。

「世の中、こんなに男性がいたんだなあって思いますね(笑)」

日本酒の品揃えはさすがに見事ですが、ひとまずはビールで乾杯。風情たっぷりのメニューを眺めているだけで、お酒が進みます。

長田佳子氏インタビュー 写真:Takashi Kato

今日はおつかれさまでした!
まだまだ奥深い神田、また散歩しましょう。

写真と文=藤井志織

長田佳子
長田佳子(おさだ・かこ)
菓子研究家、「foodremedies」主宰
レストラン、パティスリーなどで修行を積み、「大地を守る会」のカフェにてキッチンシェフを務める。
その後独立し、友人とギフト専門の焼き菓子店をオープン。ファッションブランド「YAECA」の「PLANE BAKERY」にてスイーツの開発・製造担当を経て、現在は店舗を構えず「foodremedies」(フードレメディ)という屋号で、お菓子教室や出張形式での喫茶イベントなどに取り組んでいる。
”レメディ”とは癒し、や治療するという意味。 ハーブやスパイスなどを使い、香りや食感から、まるでアロマが広がるような、なるべく体に素直に美味しいと感じられるお菓子を日々研究中。
2016年秋に初のレシピ本『foodremediesのお菓子』を出版。

http://foodremedies.info/

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