ジョアンナ・タガダ・ホフベックの個展が、
広島で開催。
2020.10.15

ジョアンナ・タガダ・ホフベックはペインティングや彫刻、ドローイング、写真作品などを手掛けるフランス出身のアーティスト。彼女の作品の多くはピンク色、若草色や土色など、淡い色調で彩られ、春の植物の芽吹きや初夏や秋の豊潤な収穫を想起させる。草木の緑、木々の凛々しさ、大地の土のにおい、湿気をおびた森の涼やかな空気。そして緑深い森の中をそよそよと流れる小川、小動物たち、大樹の下草をきらきらと照らす木漏れ日。木の子や苔、シダといった森の子どもたち。

そんなジョアンナ・タガダ・ホフベックの広島では初となる個展「From brown to pink, from pink to green」が11月7日よりリーダンディートで開催される。今回の展示は彼女の生まれ故郷であるフランス北東部の森に囲まれた田園風景が広がるアルザスで撮影された写真作品が中心になるという。
親しい人たちがいる世界中の町への旅の過程で親密な作品を数多く手がけてきたジョアンナ。彼女とは昨年、東京恵比寿のnidi galleryでのペインティングと音響、テキストを発表した個展で出会ったことがある。
ブラウンの長い髪、やまもものような淡いきはだいろのワンピースを着たジョアンナは、そのとき展示されていた作品世界そのものの若草の香りがするような女性だった。

2020年。突如訪れた世界的なパンデミックの時代。100年に一度のこの出来事に世界中の人々はいまいる場所に留まることを余儀なくされた。これまで世界中を旅してきたジョアンナも例外ではなかった。
その彼女がとどまったのが、フランス・アルザス。そこには「庭」があり、彼女の父がいる場所だという。彼女の祖父母の代から続くその「庭」には、自然の慈しみにあふれた植物たちがあたかも楽譜の中の音符がメロディを奏でるように、庭の至るところに季節の花を咲かせ、実を実らせる。
それらを古い35mmのフィルムカメラで一枚一枚植物たちに身を寄せ言葉を交わすようにシャッターを押し、自然と人との日々の営みをゆっくり穏やかにドキュメントしていく。旅の中から多くのものを紡いできたジョアンナにとって、それまでのくらしとは180°ことなる静けさに満ちた環境の中で、写真というメディウムを用いて作品を生み出していく。

広島は僕にとっては第二の故郷。そして今回の会場に選ばれたリーダンディートは東京から広島に戻った際には必ず訪れるブックショップ&ギャラリーだ。
パンデミック下においても少しずつだが、確実に世界は動きはじめている。このようなタイミングに広島でジョアンナの個展が開催されることを心から嬉しく思う。

< Johanna Tagada Hoffbeck. Photo : Takashi Homma 2018

テキスト=加藤孝司 Takashi Kato

  • Johanna Tagada Hoffbeck 個展「From brown to pink, from pink to green」
  • 会期:2020年11月7日(土)ー11月22日(日)
  • 会場:READAN DEAT 広島県広島市中区本川町2-6-10 和田ビル203
  • T/F 082-961-4545
  • http://readan-deat.com
  • 11:00-19:00 火曜休館
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