2月19日から始まる30回目のテラススクエアフォトエキシビションは、山口息吹と諏訪万修の二人展「Inherently fragmentary」を開催します。
以下、本展キュレーターの加藤孝司によるテキストです。
過剰に繋がりを求めがちな現代にあって、誰をも表現者にしうる公共性の高いメディアである写真。それに反してその本質的なありようは極めて断片的なものである。
今回紹介する2人の写真家の作品から感じるのは、写真における断片的なものとどう向き合うか?を想像させる眼差しであり精神である。
文字通り断片としての写真と透明なコート材を平面に幾層に重ねた諏訪万修の作品は、ともすると既視感と共に均質化しがちなイメージに、映像的ともいえる複層的な時間を伴って揺さぶりをかける。山口息吹の写真は日常という不可視のフレームを拡張し断片としての写真を微視と巨視、フィクションとノンフィクションを往復しながら現出させてみせる。
意識的になるべき事柄に意識的になり、本質とは何かを探究することは写真のあり方を問うことと繋がっていると思う。
本展の作品から写真の一段面としてのありようと写真家像の今とこれからを感じることができるのではないだろうか。
山口 息吹 Ibuki Yamaguchi
1999年大分生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。2020年よりフィルムでの写真制作を始める。
諏訪 万修 Mashu Suwa
1997年東京都生まれ。2021年東京綜合写真専門学校卒業。近年は写真を使用しながら、イメージがメディアを通過するのに伴って変化する可視性と時間の関係について探究しながら制作する。
Text=Takashi Kato
- テラススクエアフォトエキシビションVol.30「Inherently fragmentary」
- 住所: 千代田区神田錦町3-22 テラススクエア 1F エントランスロビー
- 会期:2024年2月19日(月)ー2024年5月24日(金) / 8:00~20:00(最終日は19:00までとなります)
- 休館日: 土曜・日曜・祝日、入場無料
- 主催:テラススクエア | 協賛 住友商事 | 企画 加藤孝司、三浦哲生
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