Matthew Genitempo
DOGBREATH
2025.9.29

テラススクエアフォトエキシビションVol.35は、アメリカ、テキサスで活動をするマシュー・ジェニテンポの「DOGBREATH」を開催します。

以下、テラススクエアフォトエキシビションキュレーターによるテキストです。

Matthew Genitempoは、アメリカ・テキサスを拠点に活動する現代写真家。彼の作品とは2019年頃にSNSを通じて出合った。それ以来、アメリカの今をどこか陰鬱にドライに、しかし感情豊かに写し出す彼の写真に惹かれてきた。Genitempoの最新作のタイトルは「DOGBREATH」(TRESPASSER 2024)。ハードカバーの大判のその本は、彼が町で出会ったDoveという若者の呪文のような謎めいた「言葉」で始まる。風景や人物に対して樹木や物を前面に配置し、時にピントの位置をずらす、日本の浮世絵を想起させる大胆な構図。白黒で綴られる本作はページ後半に向かうに従い、現実か非現実かわからなくなるような、もう後戻りができない混沌とした状況に陥っていく……。
Matthew Genitempoの日本で初の個展となる本展では「DOGBREATH」から作家が選んだ作品と、のちに公にされたアウトテイク数点から構成される。乾きひび割れたアスファルト、荒涼とした大地と生気を失ったようにみえる町、行き場をさがすような視線の定まらない表情の物憂げな少年たち、裏庭のフェンス越しの犬たちのまなざし。スーパーマーケット、あるいはガソリンスタンド横の空き地で、世界の複雑さに対峙すること。
19世紀の西部開拓の歴史とともに現在まで連綿と続くアメリカ写真の偉大な歴史。現時点におけるその新世代ともいえる彼の作品からアメリカ写真の新たな地平を垣間見ることができるのではないだろうか。

Matthew Genitempo(マシュー・ジェニテンポ)
1983年アメリカ・テキサス州ヒューストン生まれ、テキサス州オースティンを拠点とする写真家。2007年にテキサス州のベイラー大学を卒業、グラフィックデザインの学位を取得。2009年、ジョナサン・スタンデファーと共同でウェブサイトLamebookを作成。2017年にコネチカット州ハートフォードのハートフォード大学からMFAを取得した。Bryan SchutmaatとCody Haltom、Genitempoとともに、2017年フォトブック出版社Trespasserを設立。出版物は世界中で高い評価を得ている。Unveil’d Photobook Award, Shortlist, London, UK(2018年)、Paris Photo–Aperture Foundation First PhotoBook Award(2018年)、 Shortlist, USA & FR(2018年)他、受賞多数。作品集に、「Jasper」(2018年 Twin Palms Publishers)、「Mother of dogs」(2022年 Trespasser)、「DOGBREATH」(2024年 Trespasser)

Text=加藤孝司 Takashi Kato




  • テラススクエアフォトエキシビションVol.35「Matthew Genitempo / DOGBREATH」
  • 住所: 千代田区神田錦町3-22 テラススクエア 1F エントランスロビー
  • 会期:2025年9月29日(月)ー2026年1月23日(金) / 8:00~20:00(最終日は19:00までとなります)
  • 休館日: 土曜・日曜・祝日・年末年始、入場無料
  • 主催:テラススクエア | 協賛 住友商事 | 企画 加藤孝司、三浦哲生
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