ランドスケープ
Terrace Square Photo Exhibition Vol.29は本展キュレーターが掲げるテーマをもとに写真家が作品を持ち寄るテーマ展 Dialogue with photographyです。3回目となる今回は、今井智己氏と三部正博氏をお迎えしてThe New Domestic Landscapeを開催いたします。
以下、本展キュレーターの加藤孝司によるテキストです。
人間が往来し、物を移動させるために山や丘を切り開く。木や草を刈り、土地を掘り起こし平地をつくる。手入れをすることで維持された状態、放置され荒れたままの自然と、中途半端な開発が混ざり合った未開拓な風景。
法定速度ギリギリのスピードで車が走行する農地に続く笹薮に被われたバイパス沿いの未舗装の道、ひとけの無い幹線道路の裏手に密集して広がる灌木、海辺の町に放りおかれた外壁が錆びついて塗装が剥がれ今にも朽ち果てそうな納屋。
都市ではない、決して飼い慣らされることのない、ましてや固有の風土とも何かしらの感情を呼び起こす情緒とも無縁でありながら、人間の内面性を包含したようなドメスティックな風景。
例えば移動中の車窓からいつも見ている景色。それらをあなたは心から美しいと感じますか?
写真に切り取られたイメージは、相対的な比較においてのみ現実の風景に作用するだけ。「無垢なままの自然」はとうの昔に失われ、それは記憶の風景の断片となって久しい。この世界の隅々まで人間の足跡がつけられ、恣意的に、時に寓意的にその場所には後発の人間だけがわかる名前が刻まれた。
何世代にもわたり同じ問いは繰り返されてた。そのことを私たちは知っている。うすうす勘づいているものの中に真実や希望はある、と誰かが言っていた。
Text=Takashi Kato
- テラススクエアフォトエキシビションVol.29「Dialogue with photography #3 The New Domestic Landscape」
- 住所: 千代田区神田錦町3-22 テラススクエア 1F エントランスロビー
- 会期:2023年11月20日(月)〜2024年2月16日(金) / 8:00~20:00(最終日は19:00までとなります)
- 休館日: 土曜・日曜・祝日,年末年始(2023年12月29日〜2024年1月3日)、入場無料
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