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Yusaku Aoki インタビュー
ART #1

「テラススクエアフォトエキシビション」 Yusaku Aoki インタビュー

神田錦町にあるテラススクエアのエントランスで行われる「テラススクエアフォトエキシビション」は、写真を「見る」という関係性に問いを投げかけ、写真との新しい向き合い方を提案するエキシビションです。 2月27日から始まるテラススクエアフォトエキシビションVol.5は、海外でも活躍する若手写真家、Yusaku Aokiの写真展を開催します。アンサンブルでは、エキシビションスタート間近の作家にインタビュー。作品を巡る写真家の言葉を通じ、その背景を感じていただければと思います。

ー 写真を始めたきっかけを教えてください

大学生4年の時、就職先が内定してから自由に使える時間がかなりあって、その時にたまたま自宅にあったカメラで当時住んでいたアパート周辺を撮り始めました。そこからです。そのカメラを買った日にヨドバシカメラさんがセールをしていなかったら、多分そのまま就職していたと思います。

ー これまでどのような写真を撮ってきましたか?

音楽に関わる撮影が多かったです。撮り始めた頃、好きなアーティストを撮らせてもらえる機会に巡り会いました。その事が当時の自分には衝撃的で。結局就職することはやめてしまいました。それから一昨年くらいまで、ずっとライブやアーティストのポートレイトを撮るような撮影が多かったです。

ー 「Untitled Portraits by Yusaku Aoki」のコンセプトを教えてください。

今回の展示の被写体は、海外の公共交通機関の中で撮影したポートレイトと、いつもの日常でひたすら観察して撮影した雲です。撮影者が意図してコントロールすることのできない、被写体と一切接することのない関係性の中で切り取った作品群で構成しました

ー どこで撮影したものですか?

人物は主にベルリン、パリ、ロンドンの公共交通機関です。雲は自宅のベランダから、あとドーハの上空から撮りました。

ー 被写体となった人との関係性がとても独特ですよね?

今回の撮影では撮影者である僕は被写体をコントロールできません。相手は僕のことを知りませんし、そもそも僕の存在に気づいていません。普段は被写体と話しながらじっくり向き合って撮る方ですので、中々新鮮な体験でした。

ー 確かに興味深いですね。街の中でこの人を撮りたい!というのはどのように思うのですか?

艶がある人に反応してしまいます。今回のシリーズですと、光の当たり方が非常に重要な要素でした。もちろん人物に当たっている光をコントロールする事は不可能ですので、普通なら撮りたいと思うような容姿の人でも、光の当たり方が微妙な状況のときは撮らなかったりしました。逆に普段撮らないような人でも光の当たり方で艶のある姿になっていたら迷わず撮影しました。

ー 本当に出会い頭、なんですね。本作を撮影中の印象的なエピソードを教えてください。

とりあえず、デカいカメラに長いレンズを付けて撮影しているので、見た目が怪しいんです。僕のカメラは上から覗くタイプなので、下を向いているフリをしてピント合わせ、ガシャン!と撮ります。困った事にシャッター音がとても大きいカメラなんです。時に撮影と同時に振り向かれたりもするので、えっ?何の音?と自分から周りキョロキョロしてみたり。撮影の時は毎日とても神経を使いました。

ー Aokiさんの作品は被写体との距離感が印象的なのですが、写真における「距離感」についてどのようにお考えですか?

誰が撮るかによって同じ被写体でも全く違う写り方をしていて驚く事がよくあります。その違いにそれぞれの関係性が現れているのだなと。また、その違いが距離感なのかと思います。

ー Aokiさんの作品は光がとにかく印象的です。どのように光を捉えているのでしょうか?

いかに光を引いていくかを考えながら撮っています。光を取り込みすぎても色々見えすぎてしまうので、必要以上に明るくならないように心がけています。今回の撮影時には先ほども言いました通りに、光さえもコントロールをできない状況でしたので、常に自分にとって最高の光を探して撮影をしていました。

ー Aokiさんはフィルムで写真を撮影されているそうですが、それはなぜですか?

デジタルカメラが強烈な勢いで進化している時代ですので、最新のものに買い替えていくのが面倒になったのだと思います。フィルムで撮影してモニターでエディットするので、僕の写真はデジタル写真とそんなに変わらないのかもしれません。手焼きもしませんし、フィルムで撮る行為自体に強いこだわりがある訳でもありません。しっくりくるカメラやシステムに出会ったときはデジタルに移行すると思います。ただ、現像をするまで安心できないハラハラした高揚感がフィルムで撮ることを続けている理由になっている事も確かです。

ー 影響を受けた写真や作家はありますか?

沢山います。最近では、ルーヴル美術館で観た18~19世紀くらいの肖像画の数々に衝撃を受けました。今回の撮影の流れで、モナ・リザに群がっている人々を撮影したのですが、とても怒られました(笑)。

ー Aokiさんにとって「写真」とは?

光の絵画ですね。Photographyの語源そのままですが。僕は絵が描ける訳ではないので、表現したい事をいつも助けてくれます。

ー 本展をどのように楽しんでもらいたいですか?メッセージをお願いします。

この撮影をしている時、僕の片手にはいつもその時々の土地のコーヒーか瓶ビールがありました。好きなものでも飲みながらいい気分でご鑑賞いただければ幸いです。

  • テラススクエアフォトエキシビションVol.5「Untitled Portraits by Yusaku Aoki」
  • 住所: 千代田区神田錦町3-22 テラススクエア 1F エントランスロビー
  • 開催日時: 2月27日 (月)から / 8:00~20:00
  • 休館日: 土曜・日曜・祝日

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