写真という世界を、視る。
写真家 伊丹豪氏の個展。
2018.3.01
写真家、伊丹豪氏の個展が神田神保町にあるオルタナティブスペース「The White」で開催中。

エキシビションタイトルは、photocopy。これは本展と同時期に発表された伊丹氏の最新作と同名のものだ。

会場に展示されているのは、大小さまざまな大きさにプリントされた作品。ポートレート、自然、都市、スティル・ライフまで。モノクローム作品をのぞき、そのどれもが伊丹氏らしい鮮やかな色彩を放つ。 それぞれの作品は、フォトアクリル、木製フレームから、大伸ばしにされたプリントがピンで直接壁に張られたものまで、さまざまなテクスチャーを持ってみるものに提示される。

スペースの白い壁に大小さまざま大きさの作品が、それぞれの奥行きをもって立体的に展示される様は、いくつもアプリケーションで埋め尽くされたマッキントッシュのディスクトップ画面を思わせる。

作品は徹底して縦構図で撮影されている。レンズの絞り値も前後のボケが生じにくいf8以上に絞り込まれている。シャープが画質は平面のプリントに鉱物のような質感をもたらしている。

作品の隅々までピントがあった写真には、記録装置としての写真がもつ過剰なまでの情報量が込められている。

会場にはRondadeより上梓されたばかりの作品集、photocopyも展示販売されている。デスクの上でブ厚い紙の表紙を開くと、なかに通常の製本とは異なる方法で綴じられた作品が続く。写真左上のみで綴じられた作品は、1点1点の作品と向き合うことをせまる。これは見開きで2点の作品と向き合う本の体験とも、複数の作品を同時にみる展示での作品体験のいずれとも異なるものだ。

写真を感じる体験から、その深淵を視る体験へ。伊丹豪氏のphotocopyは神田神保町のオルタナティブスペースThe White(千代田区猿楽町2-2-1 #202)にて3月3日まで開催中。

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