本橋成一とロベール・ドアノー
交差する物語
2023.6.27

戦前戦後を通して自らの出自であるパリ郊外などを撮ったフランスの国民的写真家ロベール・ドアノー、高度経済成長期の頃から日本、そして世界各地を撮影した写真家で映画監督の本橋成一。その二人展「本橋成一とロベール・ドアノー 交差する物語」が東京都写真美術館で開催中。

自らが生きた時間と場所をそれぞれの眼差しで記録したフランスと日本の二人の写真家。お互い場所と時代は違っても、二人の写真に変わらずに流れるのは、そこで生きる人々に寄り添い真っ直ぐに向けられたヒューマニズムに溢れた思い。

市場や薄暗い炭鉱で額に汗を流して働く人たちの姿。
ジプシー、サーカス、大道芸人、駅やカフェ、人々が行き交う雑踏の中、生き生きと暮らす市井の人々の姿。

その眼差しは郊外の集合住宅を撮っても、未曾有の災害にみまわれた被災地に向き合っても変わることがない。
そして、日常を撮ることがその時代の社会を映し出すものとなっている写真。

Tokyo Photographic Art Museum「本橋成一とロベール・ドアノー 交差する物語」展示風景

Tokyo Photographic Art Museum「本橋成一とロベール・ドアノー 交差する物語」展示風景

本橋の作品は最新作を含むこれまでの活動を俯瞰する130点。一方、その生涯にわたり膨大な作品を遺したドアノーの未発表作品を含む111点をみることができる本展。
2人の眼差しがそれを見る者のイマジネーションを、遠いところへ誘ってくれる作品からは、喜びも哀しみも超えたその果てにある人間への賛歌が聴こえてくるようだ。

テキスト、会場写真=加藤孝司 Takashi Kato

  • 本橋成一とロベール・ドアノー 交差する物語
  • 東京都写真美術館 2F展示室
  • 開催期間:2023年6月16日(金)~9月24日(日)
  • 時間:10:00~18:00(木曜・金曜は20:00まで、入館は閉館時間の30分前まで)
  • 休館日:毎週月曜日(月曜日が祝休日の場合は開館し、翌平日休館)
  • 料金:一般 800円/学生 640円/中高生・65歳以上 400円
  • topmuseum.jp
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