社宅で現代アート
2017.4.01

神田駅近くのマンションの一室に「gallery N 神田社宅」という一風変わったスペースが、3月25日にオープンした
gallery Nは名古屋市本山にある若手現代美術作家や建築家を中心に作品を展示する現代アートのギャラリー。

ギャラリーオーナー夫妻とは古い付き合いで、氏の東京転勤に伴い、東京でもギャラリーをしたいという話は聞いていた。場所の相談にも何度か応えたことがあるのだが、今回、神田駅の新築マンションに東京での住居が決まり、その場所でギャラリーを営むことになった。
場所はJR神田駅から昭和通り方面に徒歩2分。雑居ビルが都会の森のように建ち並ぶ一棟の新築マンションがそこだ。先日訪れた時には、こけら落としとなる展示、現代美術作家である二藤建人「凍てつく雲のふわふわ」(会期、2017年4月8日まで)が始まったばかりだった。


二藤氏はgallery Nではおなじみの作家で、僕も作家本人とお会いしたことがある。おだやかな人柄からは想像ができない、静かな狂気をたたえた作品で、何度みてもその作品には驚かされる。
本展では、マンションのワンフロア全体を使った映像とインスレーションによる作品を制作。会期前に作家自ら設営したという。新築のマンションの一室にも関わらず、仮設の壁を建てたり、作品の一部であるクッションフロアにはペンキがぶちまけられている。家庭生活と人生にフォーカスした作品は、個人の物語であるにも関わらず社会的な問題をあぶり出す。
二藤氏のリビングを思わせる展示ルームの天井にはアンパンマンが描かれている。アンパンマンの顔は丸を基調に描かれているが、丸は子どもが真っ先におぼえ、かつ安心する図形だという。アンパンマンから子供部屋にしたたり落ちるペンキは、子どもの自我を浸食する何者かにもみえてくる。


このギャラリー自体が社宅とあるように、いわゆるギャラリーを想像して足を運ぶと面を食らう。詳細は訪れていただいてから感じていただきたいので、ここで書くことは控えるが、何もかもが規格外。想像の域を越えている。
社宅といっても、なにも足を踏み入れるのに躊躇する必要はない。その空間体験をしにいくだけでも、充分このギャラリーを訪れる価値はあると思う。

  • 「gallery N 神田社宅」
  • ADRESS : 東京都千代田区神田紺屋町46 アルタビル6F
  • OPEN : 13:00~20:00
  • 休 : 日月祝
  • URL : http://www.f-g-n.jp
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