なぜ写真を写すのか?
Landscapes seen by someone / Takashi Kato
2020.3.18

テラススクエアフォトエキシビション Vol.15「Landscapes seen by someone / Takashi Kato」。

写真家であると同時にライターでもある加藤孝司によるあらたなステートメントです。

デザインライターがなぜ写真を写すのか?あくまで個人的ではあるけれど、書くことと写すことは、ものや人をみる、ことにおいて近いものがあると思っている。ライターや編集者はどこかに出かけ、つくる人やつくられたものに向き合うとき、人やものから発せられ、聞こえてくる思いに耳と心を傾ける。そこから得られたものに書き手の視点と正当に伝えるという思いを軸にテキストを編んでいく。
この仕事に携わるようになった初期の頃から書くことと写すことに同時に携わる機会を得た。最初は文字通り書くことをカメラで記録してきたわけだけれども、ある時から、書くことと写すことの違いも考えるようになってきた。それと同時に、言葉に書き得ないものを写真として写すことは可能なのか?そんな命題ともいえるものにも意識的になってきた。
写真を写す理由は人それぞれだろう。だが、自分にとっての理由のひとつは誰かの視点になってみたいということがある。写真とはレンズという他者がみた景色でもあるが、あの人はこの景色をこんなふうに見たのではないか、あの人ならこう見るのではないかというように、好きとか嫌いとかいう思いを排除して、誰かが既に見たであろうものをあらためて写真に写すこと。そこに写真の楽しみや面白さを感じている。
そして、今回展示しているものは、写真がもつ物質性にも意識的になり制作をした。物質性とは、デザインがまさに宿しているもので、その手触りはもちろん、つくり手の思いや技、新しいことへのチャレンジ精神といった、もつものがあればあるほどそのものへの入口は広がると思っている。今回すべての写真はフィルムという感光材料から発色現像方式印画という、フイルムで写真を写していた時代であれば、至極当たり前な方法で、現像、定着、焼き付けといったプロセスを経て写真にしてもらった。額装もすべて写真そのものが物質として感じられるように、余白を加えずにフレーミングしてもらっている。そして機材も普段使っているものから6×7とよばれるフォーマットで、約40年前に作られた蛇腹の付いたものに持ちかえた。
写真を写すことと書くことは同義ではないが、自分のなかでは違いが少なく無理がなく好きな行為である。ものをより深くみるためにカメラという道具の存在を借りてものごとを写している。願わくばデザインやものごとをおごることなくより深く探求できる目を養うためにも、これからも写し続けたいと思っている。

Takashi kato
デザインジャーナリスト/フォトグラファー。デザイン、クラフト、アートなどを横断的に探求、執筆。デザインや写真にまつわる展示のディレクションも手がける。休日は愛猫ジャスパー(ブリティッシュショートヘアの男の子)とともにすごすことを楽しみとしている。

  • テラススクエアフォトエキシビション #15
    Landscapes seen by someone / Takashi Kato
  • 住所: 千代田区神田錦町3-22 テラススクエア 1F エントランスロビー
  • 開催日時: 20120年1月15日(水)〜5月11日(月) / 8:00~20:00
  • 休館日: 土曜・日曜・祝日
  • 入場無料
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