Shota KONO
It does not include merely potential or possibility, it is actual
2022.5.23

テラススクエアフォトエキシビションVol.23として、広告や雑誌などで活動するShota KONOの個展「事実が存在し、単に潜在性または可能性だけではない It does not include merely potential or possibility, it is actual 」が開催中です。

以下、本展キュレーターによるテキストです。

今、在るということのうちには疑いようもなく前後の事象が関連している。それとは逆に、写真があたかもそれ自体で存在しているかのように独立した現象として振る舞うことも可能だ。Shota KONOは写真は平面であり静止画だからこそ余白が生じ、多元かつレイヤーのような構造を”持ってしまう”という。それは意味においてもそうだし、見ることにおいても同様だろう。そこに写っている人はなぜそこにいたのか、どうしてこの物がそこあるのか。そんな事実が付きまといながら、一方で一枚の写真の中に、作者、鑑賞者の両方向から無数に意味を創造することができる(故に誤解も生まれる)。

写真における選択されたものと選択されなかったもの。何を選ぶかは、その時の状況や気分に左右される。だが、選ばれなかったものの周辺にも確実に「それ以外」が存在する。

ペデストリアンデッキと街路樹、タバコと灰皿、首都高速道路と川、赤いトップスとソファ、ガードレールとビニールチューブ、ワイヤーフェンスと取り残された木片。

人はあるイメージに対して、その中心を自ら選びとることができる。
これらの一枚のフレームの中には、すべてが写っているものと見切れているものが混在する。それは換言すれば、ひとつの作品の中に中心もあれば周縁もあるということだ。全てがあるからといってそれが中心というわけでもなく、見切れていることが不完全であることにはならない。
ただし、そこにある全ても作家が選びとったものだから、当然ながらそれがこの世界の全てという訳ではない。そしてこの世界の全てのイメージが等価ということもありえない。

写真は瞬間を撮っているにも関わらず、見ることも含め、あらかじめ時間軸の中に位置付けられている。

写真を写すこと、見ることには、日々の営みの中で、何をして、何をしないのかと同様に、無意識と恣意性、真実と偽りがつきまとう。それがもたらす帰結自体も含め、全ては可能性に満ちている。

Shota KONO
B 1984
2019 Exhibition「ある惑星 / A planet」(people)

テキスト=加藤孝司 Takashi Kato

  • テラススクエアフォトエキシビションVol.23 事実が存在し、単に潜在性または可能性だけではない
    It does not include merely potential or possibility, it is actual
  • 住所: 千代田区神田錦町3-22 テラススクエア 1F エントランスロビー
  • 開催日時: 2022年5月23日(月)〜2022年8月19日(金) / 8:00~20:00(最終日は18:30までとなります)
  • 休館日: 土曜・日曜・祝日・年末年始 入場無料
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