横尾香央留さんの作品の魅力について
2017.9.19

シュレッダーにかけた学生時代の手紙、バレエの発表会を記録したビデオテープ、子供のころに描いた絵、モジリアーニやピカソの絵画。
編む縫うといった手芸の手法で、お直しやニッティング作品で知られる横尾香央留さんの個展「カコヲカコウ」が江戸川橋のギャラリー、ラ・ガルリ・デ・ナカムラで開催中。

横尾さんによる記憶と思い出の品によって編まれた小さなクリーチャー、あるいはオブジェクトたち。

写真家のホンマタカシさんと中村至男さんとの共作のZINEも制作、販売されている。紙という平面への刺繍のアプローチの契機となったと思われる、ホンマさんの写真作品に横尾さんが刺繍を施した「IN OUR NATURE」などのオリジナルもみることができる。

照れながら横顔を手で隠す展覧会場で作品を前にした横尾さんの横顔。

糸や紙、ビデオテープなどマテリアルを変えていながら、ここで共通しているのは、針や編み棒、指先で編むという行為。今回の作品は特に、紙やテープという平面、ポストカードや書籍などの誌面といった、平面×平面が生み出す立体感が編む縫うという行為をさらに多層的なものにしている。
でも安心して、実際の作品を体験してもらいたい。表現されたものは、すべてがチャーミング。
複雑で難解で内省的、可愛らしく愛嬌のあるもの。この二面性こそが横尾さんの作品の魅力なのだろう。

  • Kaoru Yokoo Solo Exhibition
    横尾香央留 “カコヲカコウ”
  • 場所:ラ・ガルリ・デ・ナカムラ
  • 東京都新宿区早稲田鶴巻町574
  • 会期:2017年9月16日(土)〜10月9日
  • 時間:12:00ー18:00
  • 火・水曜日休廊
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