日々の暮らしを彩るもの作りの現場は力強い生命感に溢れていました。
先日取材の仕事で「工場の祭典」というもの作りのお祭りに行ってきました。
「工場の祭典」は新潟県の燕市と三条市の二つの市町村にまたがり開催される、工場を舞台にしたもの作りのお祭り。
お祭りと言っても御神輿や舞踏が踊られる訳ではありません。
本当にリアルなものが生まれる瞬間を目撃できる3日間なのです。
今回で5回目を迎える工場の祭典には、100以上の工場が参加しています。お客さんは県内の方ばかりではなく、県外からもこの日を目指して多くの人が訪れます。お客様の層も、デザイナー、もの作りのプロのような方から、一般の人、学生や子供の姿もたくさんいます。
東京の町工場と違い、工場と工場の間には田んぼや川が広がり、歩いて回るのほ不可能、訪れるのも簡単ではありません。それでも工場に訪れると誰かしら見学に訪れています。1000円で乗り放題のシャトルバスも組織されているんですね。
工場の方々もものすごくフレンドリーです。もの作りに関しては全く知らずに訪れても丁寧に説明してくれます。これは本当にすごいことだと思いました。
工場の祭典の目印はピンクのストライプ。町の至るところでこのピンクのストライプを目にすることができます。おそらく主催者や参加する工場は毎年ポスターを製作したり配布する必要はなく、ピンクのビニールテープを塀や窓ガラスにぴーっと張れは、お客さんをもてなす準備が出来てしまいます。素晴らしいアイデア、これこそデザインの力ですね。
このエリアで作られているのは、主に金属製品。若いデザイナーもこの町のもの作りに多く関わり、伝統的な農具から現代的なプロダクトまで、生活から暮らしまで幅広く役立つものがこの町で作られています。金物の町、「燕三条」としていまや世界的に知られる燕市、三条市のもの作りの歴史の深さ、そして本気が伝わってきました。
地に足の着いたもの作りから、人と人とが繋がる場作りへ。大きな刺激をいただいた出張になりました。
写真と文=加藤孝司
- 「工場の祭典」
- 会期終了
- 新潟県三条市、燕市の一帯で開催。
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