Dialogue with photography #1
Does the river flow horizontally or vertically?
2021.11.08

2015年11月にスタートしたテラススクエアフォトエキシビションでは、Vol.21として、広告や雑誌などで活動するフォトグラファーの本多康司、山本康平、デザインやアートのジャーナリストでフォトグラファーの加藤孝司によるテラススクエアフォトエキシビションでは初となるテーマ展「Dialogue with photography #1 Does the river flow horizontally or vertically?」を2021年11月22日より開催します。

以下、本展キュレーター加藤によるテキストです。

川は地球の引力や重力によってそこに留まるとともに絶え間無く移動を続ける。それが水平に流れるのか垂直に流れるのか。観念的な意味においてそのいずれかを決めるものは、それ自体にはもたない。そうして、これがどこなのか、いつのことなのか、誰の撮った写真なのか?それは創作や、ましてや自然自体において、さほど重要なことではないのかもしれない。
ものの見え方は見る角度や場所、その人が置かれている立場によって異なることを私たちは経験上知っている。私たちがみる写真もそれと同じように、それをみる人によって意味や感じ方はさまざまである。ましてやそれが真実なのか作為的なものであるのかも写真をみただけではわからない。
これらは3人の作家が、異なる時間、異なる場所という、それぞれの状況の中で撮影した写真の小さな集合体である。 ここに写っている雪や川、木々たちは作為なくそこに存在する。だがそれらが写真として私たちの目の前に現前する時、それはそれをみる者、写真に写しとる者によって恣意的なものとしてその姿をさらけ出す。
「美しさ」や「共感」、「感情をゆさぶる」ものをもたらすのは、人それぞれである。そしてそれは写真になったとき、写真の「あきらかさ」とは真逆に「目には見えない」し、うつらない。
だが、その目には見えないものを写しだすものこそがフォトグラフィーがもつひとつの要素であることには違いがない。

Dialogue with photographyとは:
本展キュレーターが写真家たちに提示するテーマをもとに、写真との対話を試みるフォトグラフィーを巡るあらたな実験の場です。

本多康司
愛知県生まれ、兵庫県育ち。熊本大学工学部卒業。長野博文氏、泊昭雄氏に師事後、2009年に独立。
コマーシャルフォトグラファーとして広告、雑誌、カタログを中心に活動。
一方で主な作品制作として、『suomi』『集合写真』『madori』『wander -めぐる-』『Trans-Siberian Railway』を発表。

山本康平
京都府宇治市生まれ、京都工芸繊維大学卒業。
都内スタジオ退社後フリーのアシスタントを経て、2016年フォトグラファーとして独立。
東京・京都を拠点として活動。
広告、雑誌、ウェブ、ブランディングやプロジェクトなどにおいて、ジャンルに囚われる事なく様々な撮影を行っている。

加藤孝司
東京都生まれ。雑誌やウェブ、企業メディアなどでのデザインやアートにまつわる執筆や編集、フォトグラファーとして写真を発表する。共著に『時間のデザイン』(鹿島出版会)、『TOKYO AND ME』(クラスカ)などがある。テラススクエアフォト・キュレーター。

テキスト=加藤孝司 Takashi Kato

  • テラススクエアフォトエキシビションVol.21「Dialogue with photography #1
    Does the river flow horizontally or vertically?」
  • 住所: 千代田区神田錦町3-22 テラススクエア 1F エントランスロビー
  • 開催日時: 2021年11月22日(月)〜2022年2月18日(金) / 8:00~20:00(最終日は18:30までとなります)
  • 休館日: 土曜・日曜・祝日・年末年始 入場無料
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