ノスタルジックな
近江屋洋菓子店
2018.8.31

自分にも乙女心というものがあるとすれば、近江屋洋菓子店は私の乙女心をきゅーっと刺激するお店だ。
初めて知ったのは、雑誌「オリーブ」だったように思う。

中に入ると予想外に広く感じるのは、天井の高さゆえかもしれない。
入り口のドアや、少しくすんだコバルトブルーの天井、ハイスツールが並ぶテーブルやカウンターは、往年のミッドセンチュリーテイスト。
天井と同じブルーの制服と白いエプロンにも、床のタイルのモザイクにもキュンとくる。
ショートケーキやモンブラン、アップルパイといったベーシックなメニューには、大人も子どもも喜ぶ安心感がある。
記憶の奥にあるような懐かしい雰囲気が漂う店内は、それだけで1つの物語になりそう。

店内の中央には、セルフサービスのドリンクバーが設置されている。
いちごジュースやコーヒー、紅茶などに加えて、なんとホットチョコレートやスープまである。
祖母や母と一緒にお出かけ、というシーンがよく似合う(個人的な憧れです)。

昨今の洋菓子は、なかなか気軽に買えない高級品も多いけれど、近江洋菓子店の商品は、気軽に買える価格がうれしい。
ショートケーキはショートケーキらしく、モンブランはモンブランらしく、どのお菓子も姿勢よく正しい形をしているのがいい。
仕事の合間に立ち寄ったときは、入り口の左側に並ぶ惣菜パンも目当ての一つ。お昼を食べ損ねて小腹が空いたときにちょうどいいサイズで、つい買ってしまう。

たくさんの商品があるなかで手土産にするなら、フルーツポンチがイチオシ。
友人にもらったときに「やったー!」と声が1オクターブ高くなるものの一つで、大きな瓶に入った季節のフルーツの様子は、何度見てもときめく。

包装紙は、ドリンクバーのコップと同じ愛らしい絵柄。子どもの頃から「ケーキ屋さんのリボン」と認識していた、あの、細い金銀のラインが入ったキッチュなピンクのリボン。

食べる分だけ、器にうつしていただく。アイスクリームを添えるのも好きだ。
8月のフルーツポンチには、大きなプラムが丸ごと一つ入っていた。

写真と文=藤井志織

  • 近江屋洋菓子店
  • 場所:東京都千代田区神田淡路町2-4
  • TEL:03-3251-1088
  • 営業時間:09:00〜19:00(日曜・祝日は10:00〜17:00L.O.)
  • 定休日:無休

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