長田佳子さんとお菓子(ときどきビール)探訪 (後編)
2018.10.19

街歩きの醍醐味は、小さな発見

山の上ホテルを出て今度は神田駅方面へ。 小径に入ってみたり、古い建物を見つけてときめいたり。街歩きの楽しさは、目的なく歩くことにあります。
長田佳子氏インタビュー
裏道を歩いていたときに見つけたガイアは、長田さんもよく行くお店。 「神田にもあるんですね。こちらの代々木上原店には、ちょくちょく行きます。環境や人にやさしいもの、作り手の顔が見えるものなど、思いやりのある商品がそろっていて、有機栽培の小麦粉を買ったりしています」
長田佳子氏インタビュー 写真:Takashi Kato
「知る人ぞ知る、というような小さな料理屋さんにも惹かれますね。行ってみたいお店がたくさん!」 鳥すきやきの「ぼたん」や、あんこう鍋の「いせ源」といった老舗の前を通りがかったときには、きりりとしたその佇まいにほれぼれ。 「ちょっと緊張しちゃうけど、もういい大人なんだし、そろそろ行ってもいいですよね(笑)」
長田佳子氏インタビュー 写真:Takashi Kato
道角に立っていた小さな看板を見つけた長田さん、真剣な顔でチェック。 「ワンコイン寄席ですって。最近、寄席も面白そうって興味がわいてきているんです。神田を半日歩いているだけで、いろんな楽しみができそうだなぁ」
長田佳子氏インタビュー 写真:Takashi Kato

本日、二軒目の純喫茶へ

そろそろ休憩しましょうかと向かったのは、喫茶エース。昭和46年創業、ダンディな兄弟が営む喫茶店です。 朱赤と白のストライプの入り口から既にかわいい。
長田佳子氏インタビュー
オーダーはもちろん、元祖のりトースト。「これが食べてみたかった」と長田さん。 ひと口食べてみると、バターがしみたトーストに、しょうゆとのりの味がなじんでいて、あとをひくおいしさ!
長田佳子氏インタビュー 写真:Takashi Kato
店内に所狭しと並んでいるメニューは、すべてマスターの手書きなのだとか。 「お金がないからね、全部自分で作っちゃうの(笑)」とおっしゃいますが、これ、フォントとして販売してほしいほどのクオリティ。切り抜いて貼られている写真の効果も抜群で、デザインってこういうことじゃないかと感動します。
長田佳子氏インタビュー

大衆居酒屋の老舗で散歩を締めくくる

コーヒーを飲んでひと息ついたところで、そろそろ神田散歩もおしまい。 〆はどうします? と聞いてみたところ、「この近くに、みますやがありますね」と長田さん。さらりとした表情ですが、内心、すごく嬉しそう。 繊細で美しく、心にもからだにもやさしいお菓子を作る長田さん、実はお酒にめっぽう強いのです。
長田佳子氏インタビュー 写真:Takashi Kato
みますやの創業は明治38年。なんと100年以上、営業しているというわけです。 入ってみると、まだ17時半というのにほぼ満席! スーツを着たおじさまたちで埋まっています。 「世の中、こんなに男性がいたんだなあって思いますね(笑)」 日本酒の品揃えはさすがに見事ですが、ひとまずはビールで乾杯。風情たっぷりのメニューを眺めているだけで、お酒が進みます。
長田佳子氏インタビュー 写真:Takashi Kato
今日はおつかれさまでした! まだまだ奥深い神田、また散歩しましょう。 写真と文=藤井志織
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